私達はバイオマスについて研究しています。バイオマスとは植物や動物などに由来する資源です。バイオマスの一種である木の成分はセルロース、ヘミセルロース、リグニンなどです。木を全溶解できれば成分を利用しやすいのですが、微粉砕しても水などの溶媒に全溶解するのは困難で、これまでに知られている溶媒は少数です。私達は特定のカルボン酸が微粉砕木粉を溶解できることを見出しました。この技術を活かして木の成分を有効に活用する研究を進めています。

Yuri Nishiwaki-Akine and Takashi Watanabe, Green Chem., 16, pp. 3569-3579, May 2014

木の溶液を乾燥したところ、茶色く透明な木質フィルムが得られました。成分がほぼ木と同一なので、ある意味「透明な木」とも言えます。曲げたり、折り紙のように折ったりすることができます。また、土の中や、川の水の中などで容易に生分解される、環境にやさしい素材です。プラスチックの代替品などとして使用するための検討を進めています。

Yuri Nishiwaki-Akine et al. ACS Sustainable Chem. Eng., 2017, 5 (12), pp 11536–11542, November 2017